形見分けで金・貴金属を渡す時の注意|時期・相手・税金の考え方

形見分けで金や貴金属を渡す時の注意を表したアイキャッチ

当サイトの記事は、国税庁・裁判所・法務省・e-Gov法令検索・国民生活センターなど公的機関の公開情報、田中貴金属工業の公表価格、各買取店の公式情報、Yahoo!知恵袋などの公開された声をもとに編集部が独自に執筆しています。相続・税金の個別の判断は、税務署・税理士・弁護士・司法書士・家庭裁判所などに確認してください。買取価格・条件は店や品物ごとに異なり、日々変わります。

親戚から「形見分けをしたい」と声をかけられた。母の金の指輪を、娘や孫に渡したい。形見分けで金や貴金属をどう扱えばいいのか、迷いますよね。

結論から言うと、金のように価値のある物は、形見分けの前に相続人みんなで話し合って決めるのが安心です。時期や相手に決まりはありませんが、相続放棄や税金に関わることもあるので、順番を押さえておきましょう。

この記事を読めば、形見分けで金を分ける時に気をつけたいことと、家族で話し合う時のポイントが分かります。

遺品を整理中の人

叔母たちから「お母さんの指輪、形見分けでもらえる?」と聞かれました。渡していいんでしょうか。

案内役

気持ちに応えたいですよね。ただ、金の指輪は相続財産になるので、まずは相続人のみなさんで相談してから決めましょう。急いで決めなくて大丈夫ですよ。

目次

形見分けとは?遺産分割との違いを知っておきましょう

先に結論

形見分けは、亡くなった方の愛用品を親しい人に思い出として分けることです。ただ、金や貴金属は価値のある相続財産なので、遺産分割と切り離さずに考えましょう。

形見分けは、法律で決められた手続きではなく、昔からの習わしです。一方の遺産分割は、民法に定められた相続財産の分け方です。

相続人が複数いる時、相続財産は分け方が決まるまで相続人みんなの共有とされています(民法898条)。形見として渡したい金の指輪も、この共有の財産に入るんです。

比べる点形見分け遺産分割
どんなもの?思い出の品を親しい人に分ける習わし民法に基づく相続財産の分け方
誰が決める?家族・親族で相談相続人みんなの話し合い
何を分ける?愛用品・身の回りの品預金・家・金など相続財産全体
金・貴金属は?価値がある物は相続財産として扱う分ける対象に入る

『形見分けなら、ちょっとした物だし自由に渡していいのでは』と思う方もいるかもしれません。

実は、金は重さと品位で値段がつく物です。例えば18金の指輪が10gなら、RE:TANAKAが2026年10月20日17:00に発表したK18のリサイクル価格15,214円で計算して、15,214円×10g=152,140円が計算上の目安です(税込・鑑定料・手数料込み。記事執筆日時点の参考値)。

小さな指輪でも、それなりの金額になることがありますよね。だからこそ、相続人の合意を取ってから渡すのが安心なんです。

形見分けで出てくることが多い金の品

ひと口に金といっても、品物によって考えたいことが少しずつ違います。形見分けの前に、どんな品があるかを見ておきましょう。

品物形見分けで考えたいこと
金の指輪身につけたい人がいるか。サイズが合わない時はどうするか
金のネックレス・ブレスレット重さで金額が大きく変わる。喜平など重い物は金額を確かめてから
金貨・記念金貨1枚ずつ分けやすいが、種類によって金額が違う
金の延べ棒(インゴット)1つを分けにくい。形見分けより遺産分割の話し合いで決める方が向いている
金のおりん・仏具祭祀を受け継ぐ人が受け継ぐ物として扱われることがある

仏具については、民法897条で、系譜・祭具・墳墓は慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が受け継ぐとされています。純金の仏具がどう扱われるかは品物や状況で変わるので、迷う時は専門家に確認してみてください。

指輪のサイズが合わない時は、作り直す(リフォームする)という選び方もあります。費用はデザインや店で大きく変わるので、受け継ぐ人が見積もりを取って決めると安心です。

金・貴金属を形見分けする時に気をつけたいこと

遺品を整理中の人

姉は「好きな物を持っていっていいよ」と言ってくれています。それでも相談は必要ですか?

案内役

そう言ってもらえるのはありがたいですね。ただ、相続人がほかにもいる時は、全員が知っている形にしておくと後で安心です。一覧と写真を共有しておきましょう。

形見分けで後からもめやすいのは、価値のある物を誰かが先に持ち帰ってしまった時です。悪気がなくても「知らないうちに無くなっていた」と感じる人が出ると、気持ちがすれ違ってしまいます。

おたからやの公式コラムでも、共有となる品の処分は相続人間の同意を得てから進めると、無用な争いを避けられると案内されています。

金を形見分けする前のチェック
  • 出てきた金・貴金属を一か所に集め、写真と一覧を作った
  • 相続人全員に一覧を共有した
  • 誰が何を受け取るか、相続人みんなが納得している
  • 遺言書に金や貴金属のことが書かれていないか確かめた
  • 相続放棄を考えている人がいないか確かめた

渡すと決めた品は、誰に何を渡したかを一覧に書き残しておきましょう。後で遺産分割の話し合いをする時にも役に立ちます。

形見分けの話し合いはこう進めるとスムーズです

親族が集まる場で、いきなり品物を並べて「好きな物をどうぞ」とすると、欲しい物が重なった時に気まずくなりがちです。

話し合いの進め方
  1. 相続人で、形見分けに出す品と出さない品を先に決める
  2. 形見分けに出す品の写真と一覧を、参加する人に事前に送る
  3. それぞれが欲しい品を書き出して、相続人に伝える
  4. 希望が重なった品は、思い出の深さや使う予定を聞いて相続人で決める
  5. 決まった内容を一覧にして、みんなで共有する

希望が重なって決められない時は、金額を確かめて代償金で調整する方法もあります。分け方の考え方は相続した金の分配方法で詳しく説明しています。

金・貴金属を形見分けする前に確かめる手順の図解

形見分けはいつ・誰に?時期と相手の考え方

形見分けの時期に決まりはありません

『四十九日が終わるまで待つべき?』と迷う方も多いはずです。

形見分けの時期に法律の決まりはありません。おたからやの公式コラムでも「四十九日後に少しずつ進めるご家庭も見られますが、遺品整理を始める法的な期限はありません」と案内されています。

ただ、金や貴金属については、次の期限に関わることがあるので覚えておきましょう。

期限内容金の形見分けとの関係
相続を知った時から3か月以内相続放棄・限定承認をするかを決める(民法915条)放棄を考えている人は受け取る前に確認
亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内相続税の申告と納税(No.4205)遺産の合計が基礎控除を超える時は金も計算に入る
相続開始から10年特別受益・寄与分を考えない分け方になる(民法904条の3)遺産分割そのものに期限はない

急いで分ける必要はありません。家族の気持ちが落ち着いてから、話し合いの場を作ってみてください。

遠方に住む家族がいる時は、写真と一覧を送って希望を聞く形でも進められます。全員が一度に集まれなくても、みんなが同じ情報を見ていることが大事なところです。

誰に分ける?相続人以外の人も受け取れます

形見分けは、相続人以外の親しい人に渡すこともできます。ただし、金のように価値のある物を相続人以外に渡す時は、相続人みんなの合意を取っておきましょう。

相続人の範囲は民法で決まっています。配偶者はいつも相続人で、ほかは子ども、父母など、兄弟姉妹の順です(民法887条・889条・890条)。

孫は、通常は相続人ではありません。ただし、子どもが先に亡くなっている時は、その子ども(孫)が代わりに相続人になります(民法887条2項)。

国税庁のタックスアンサー(No.4132)では、内縁関係の人は相続人に含まれないとされています。それでも、相続人みんなが納得すれば形見として受け取ることはできます。

亡くなった方が遺言で「この指輪は孫に」と書いていた場合は、遺言の内容が出発点になります(民法964条)。

例えばこんな会話があるかもしれません。「おばあちゃんの指輪、孫の私ももらえるの?」「相続人のみんながいいと言えば、形見として受け取れるよ」。相続人でなくても、みんなの合意があれば受け取ることはできます。

相続放棄を考えている人の形見分けは慎重に

遺品を整理中の人

私は相続放棄を考えています。それでも母の指輪だけはもらいたいのですが…。

案内役

その気持ちはよく分かります。ただ、受け取る前に家庭裁判所や弁護士・司法書士に相談しておきましょう。受け取り方によっては、放棄に影響することがあるんです。

民法921条1号では、相続人が相続財産の全部または一部を処分した時は、単純承認をしたものとみなすとされています。単純承認とみなされると、相続放棄ができなくなる場合があります。

相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法915条)。裁判所の案内では、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。

高価な物は特に注意

形見分けでどこまで受け取ってよいかは、品物の価値や状況によって変わり、一律には言えません。金の指輪やネックレスのように価値のある物は、受け取る前に専門家へ相談してみてください。

おたからやの公式コラムでも、相続放棄を検討中の段階で遺品を処分すると単純承認とみなされる恐れがあり、疑問がある時は家庭裁判所や専門家へ相談して、保管と目録作成にとどめるよう案内されています。

放棄を考えている時にしておけること
  • 金や貴金属は持ち出さず、今ある場所でまとめて保管する
  • 写真と一覧(目録)を作っておく
  • 3か月で判断できない時は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられることを知っておく
  • 受け取りたい品があることを、相談の時に専門家へ伝える

民法940条では、相続放棄をした人も、放棄の時に相続財産を手元で預かっている場合は、ほかの相続人などに引き渡すまで自分の財産と同じ注意で保存しなければならないとされています。預かっている指輪などは、大切に保管しておきましょう。

相続放棄と遺品の金については、相続放棄するなら形見の金を売ってはいけない?で詳しく説明しています。

形見分けと税金(贈与税・相続税)の考え方

『形見分けでもらった金に、税金はかかるの?』と心配になりますよね。

まず相続税です。田中貴金属は「地金・金貨・プラチナコインは相続税(贈与税)の対象です」と案内しています。

金も、ほかの財産と一緒に相続税の計算に入ります。

相続税は、遺産の合計が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える時にかかります(No.4102)。例えば法定相続人が3人なら、3,000万円+600万円×3=4,800万円です。

税金どんな時にかかる?金の形見分けで確かめること
相続税遺産の合計が基礎控除を超える時形見分けした金も遺産の合計に入るか
贈与税個人から贈与で財産をもらった時(年110万円の基礎控除)相続人から受け取った形になっていないか
所得税(売った時)受け取った金を売って利益が出た時取得費と取得日は前の持ち主から引き継ぐ

贈与税は、個人から贈与により財産を取得した時にかかる税金です(No.4402)。1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要とされています。

形見分けで受け取った金がどの税金の対象になるかは、品物の価値や受け取り方で変わる場合があります。高価な品を受け取る時は、税務署か税理士に確認してみてください。

相続税の申告が必要な時、形見分けした金は?

遺産の合計が基礎控除を超えて相続税の申告が必要な時は、形見分けで渡した金も含めて財産を確かめることになります。

国税庁の財産評価基本通達では、財産は「時価」で評価するとされています。家庭用の動産で1個または1組の価額が5万円以下の物は、一世帯ごとにまとめて評価できるとされています(評価通達128)。

金の指輪やネックレスの評価をどう考えるかは、品物によって変わる場合があります。申告が必要な時は、形見分けした品の一覧を持って税理士に相談してみてください。

生前にもらっていた貴金属は

亡くなる前の一定期間にもらった財産は、贈与税がかかったかどうかに関係なく、相続税の計算に足されることがあります(No.4161)。いつ・何をもらったかを書き留めておきましょう。

形見分けと税金の関係をまとめた図解

形見分けでもらった金を売りたくなったら

遺品を整理中の人

形見分けでもらった祖母のネックレス、つける機会がなくて…。売ったら失礼でしょうか。

案内役

失礼ということはありませんよ。しまったままにするか、売って別の形で思い出を残すか、どちらも大切にする方法です。決める前に、金額を知っておくと考えやすくなります。

形見分けで受け取った指輪やネックレスを、時間がたってから売りたくなることもあります。使わずにしまっておくより、売って別の形で思い出を残したいという考え方もあります。

売る前に、まずは自分の気持ちを確かめてみてください。迷う時は、写真に残してから決めると気持ちが楽になります。形見を残すか売るかの考え方は残す形見と売る形見の分け方でも説明しています。

形見分けでもらった金を売る時の流れ
  1. 遺産分割が終わっているか、まだ共有の物ではないかを確かめる
  2. 刻印や重さを確かめ、写真を残す
  3. 自分で選んだ買取店に査定をお願いし、品物ごとの金額を聞く
  4. 金額を聞いてから、売るかどうかを決める
  5. 本人確認書類を持って売り、明細を保管する

査定だけ受けて、いったん持ち帰っても構いません。おたからやでは、査定料・キャンセル料は無料と案内されています。LINE査定も「売らずに金額を知るだけでも大丈夫」とされています。

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売ると決めた形見だけ、金額を聞いてから

残す物を決めて、家族で話し合ったら、売る品だけを査定に出しましょう。刻印のない品や壊れた品も、店で品物を見てもらい、1点ずつ金額の説明を聞いてから決められます。査定だけでも大丈夫です。

査定料無料公式サイトで買取価格を確認する

買取価格は日々変わります。最新の価格・条件・必要書類は公式サイトで確認してください。

店頭での買取にはクーリング・オフの制度がありません。金額に納得してから売るようにしましょう。

相続や贈与で受け取った物を売る時は、前の持ち主の取得費と取得日を引き継ぎます(所得税法60条1項)。アクセサリーのような生活用の品は、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝石を除いて、売った所得に税金がかからないとされています(No.3105)。高価な品は税務署か税理士に確認してみてください。

「形見分け」よくある相談

ここでは、ネットの相談サイトでよく見かける悩みを3つ取り上げます。

親族が、四十九日前から形見分けを急かしてくる

四十九日の法要が済む前から、親族が形見分けと称して遺品整理を進めたがっていて困っているという相談です。

形見分けの時期に決まりはありません。気持ちの整理がつかないうちは「みんなで一覧を作ってから決めたいので、少し待ってほしい」と伝えてみてください。

金や貴金属は相続財産なので、相続人の合意なく持ち出されないように、一か所にまとめて保管しておくと安心です。

孫は形見分けをしてもらえる?誰が決める?

孫も形見分けを受けられるのか、誰が呼ぶ人を決めるのかという相談です。

孫は、子どもが先に亡くなっている時などを除いて、通常は相続人ではありません。ただ、形見分けは相続人以外の人に渡すこともできます。

金のように価値のある物を渡す時は、相続人みんなで話し合って決めましょう。誰を呼ぶかも、喪主だけで決めず、相続人で相談しておくと後で気まずくなりにくいです。

形見分けでもらった昔のジュエリーを売りたい

祖母の形見分けでもらった指輪やペンダントトップが古いデザインで、売りたいけれど価値があるのか分からないという相談です。

古いデザインでも、金やプラチナが使われていれば地金としての値段がつく場合があります。おたからやの公式コラムでは、宝石が外れた枠だけでも地金として値段が付く可能性があると案内されています。

売る前に査定で金額を聞いて、そのうえで残すか売るかを決めてみてください。親や祖父母の形見を売る時の進め方は親・祖父母の形見の金を売る時の進め方で説明しています。

よくある質問

形見分けで金を受け取る時、書類は必要ですか?

形見分けに決まった書類はありません。ただ、金のように価値のある物は、誰に何を渡したかを一覧に残しておくと安心です。遺産分割協議書を作る時に、その内容を書いておくこともできます。

形見分けを断ってもいいですか?

断っても大丈夫です。受け取った物の管理が負担になることもあります。気持ちだけ受け取って、品物は相続人で分けてもらうという形もあります。

形見分けした後に、金の延べ棒が見つかったら?

後から見つかった金も相続財産です。相続人全員に知らせて、分け方を話し合いましょう。分け方の考え方は相続した金の分配方法で説明しています。

遺言書に「指輪は娘に」と書いてあったら?

民法では遺言で財産を特定の人に渡せるとされています(964条)。遺言書の内容を前提に、相続人で扱いを確認しましょう。遺言書の扱いに迷う時は、家庭裁判所や司法書士に相談してみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 形見分けは習わしだが、金や貴金属は価値のある相続財産として扱う
  • 渡す前に一覧と写真を作り、相続人みんなの合意を取る
  • 時期に決まりはないが、相続放棄の3か月・相続税の10か月は意識する
  • 相続放棄を考えている人は、受け取る前に家庭裁判所や専門家へ相談する
  • 売る時は、品物ごとの金額を聞いてから決める

形見の金の扱い方全体は形見の金を売るには?遺品から出てきた金の扱い方と売り方で順番にまとめています。

形見の金.jp

形見の金.jp 編集部

遺品整理で出てきた金の指輪・ネックレス・金貨・おりんなどを、家族で納得して残す・分ける・売れるよう、国税庁・裁判所など公的機関と各社の公式情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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