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母の指輪、父の金のネックレス、祖母から受け継いだペンダント。親の形見を売ることを考え始めたものの、誰にどう話せばいいのか分からず止まっている方も多いはずです。
結論から言うと、親の形見を売る時は「全部を一覧にする、残す物を決める、分け方を決める、売る物だけ金額を聞く」の順番で進めれば大丈夫です。この順番で家族と話していけば、すれ違いも後悔もぐっと減ります。
この記事では、母・父・祖母・祖父の形見で迷いやすいことと、家族への相談のしかた、売る時の流れをお話しします。
母が亡くなって、金のアクセサリーがたくさん出てきました。兄と妹もいるんですが、何から話せばいいのか…。
まずは全部を1か所に集めて、一覧を作るところから始めましょう。一覧があると、兄弟で話す時の土台になりますよ。売るかどうかは、その後で一緒に決めれば大丈夫です。
母・父・祖母・祖父の形見、売る時に迷うこと
誰の形見かによって、相続人が誰か、品物の思い出が誰にあるかが変わります。そこを押さえておくと、相談する相手が見えてきます。
親の形見でも、祖父母の形見でも、迷いのもとは似ています。『自分ひとりで決めていいのかな』『ほかの家族は残したいと思っていないかな』という気持ちですよね。
| 誰の形見か | よくある品 | 迷いやすいこと |
|---|---|---|
| 母の形見 | 指輪・ネックレス・ダイヤのジュエリー | 兄弟姉妹それぞれに思い出がある |
| 父の形見 | 金時計・喜平ネックレス・印台の指輪 | 残された母の気持ちが気になる |
| 祖母の形見 | 古いデザインの指輪・ペンダント | 自分が相続人かどうか分からない |
| 祖父の形見 | 金時計・金貨・ネクタイピン | 親や叔父・叔母の考えが分からない |
母の形見を売る時
母の形見は、アクセサリーの数が多く、兄弟姉妹それぞれに「これは母がよくつけていた」という思い出があることが多いものです。
自分が使わないからといって、ほかの兄弟も同じとは限りません。「この中で残したい物ある?」と、先に聞いておくと話がまとまりやすくなります。
父の形見を売る時
父の形見は、金時計や金のネックレスなど、1点の金額が大きくなりやすい品が出てくることがあります。
母が健在なら、母も相続人です。民法890条では、配偶者は常に相続人になるとされています。父の形見を売る話は、まず母の気持ちを聞いてから進めましょう。
祖母・祖父の形見を売る時
祖母や祖父の形見の場合、孫は相続人ではないことが多いんです。民法887条では、亡くなった人の子が相続人になり、その子が先に亡くなっている時に、孫が代わりに相続人になるとされています。
つまり、祖母の形見がまだ遺品のままなら、まず相続人である親や叔父・叔母が行き先を決めることになります。祖母の形見を売るかどうかも、その人たちの考えを聞いてからにしましょう。
例えばこんな聞き方です。「おばあちゃんの指輪、お母さんたちはどうするつもり?」「もし誰も使わないなら、私が1つ受け継いでもいいかな」。孫の立場からは、売る話より先に「受け継ぎたい」という気持ちを伝える方が、話がやわらかく進みます。
一方で、形見分けで自分が受け取った祖父母の品なら、自分で行き先を決めやすいですよね。この違いは、後の章でくわしくお話しします。
売る前に、他の相続人・家族へ相談する
兄に相談したら「好きにしていいよ」と言われました。それでも全員に聞いた方がいいですか?
ひと言でも聞いておくと安心ですよ。後から「そんな話は聞いていない」とならないように、一覧を見せて確かめておきましょう。
遺品の金は、遺産分割が終わるまでは相続人みんなの物です。民法898条では、相続人が数人ある時は「相続財産は、その共有に属する」とされています。
だからこそ、誰か1人が決めて売るのではなく、相続人みんなで行き先を決める必要があります。まずは、誰が相続人なのかを確かめておきましょう。
| 亡くなった人の家族 | 相続人になる人 | 法定相続分(民法900条) |
|---|---|---|
| 配偶者と子がいる | 配偶者と子 | 配偶者1/2、子1/2(子が複数なら等分) |
| 子がいなくて、配偶者と親がいる | 配偶者と親 | 配偶者2/3、親1/3 |
| 子も親もいなくて、配偶者と兄弟姉妹がいる | 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
この割合は、話し合いで変えてもかまいません。国税庁も、遺産分割の話し合いで法定相続分と違う分け方にしてよいと案内しています(No.4132)。
相談の切り出し方
いきなり「売りたい」と言うより、「どうするか一緒に決めたい」と相談の形で切り出すと、相手も話しやすくなります。
例えばこんな言い方です。「お母さんのアクセサリー、一覧にしてみたから見てくれる?」「残したい物があったら先に選んでね」「誰も残さない物は、一度金額だけ見てもらおうと思うんだけど、どうかな」。
- 品物ごとの写真と一覧(品名・刻印・数)
- 自分が残したい物とその理由
- 売る候補にしたい物とその理由
- 遠方の家族にも見せられるよう、写真を共有する方法
遠くに住んでいる家族とは、写真を共有して話すと便利です。全員の考えを聞いてから決めた、という形が残ると、後から気持ちがすれ違いにくくなります。
意見が分かれた時は
『私は売りたいけど、姉は全部残したいと言っている』。家族の中で考えが違うのは、よくあることです。
おたからやの公式コラムでも、意見が割れた品は一時保管し、冷静に再協議することで感情的な対立を避けられると案内されています。まとまった物から先に決めて、迷う物は保留の箱に入れておきましょう。
それでも話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使う方法があります(申立ての費用は収入印紙1,200円分と郵便切手)。どう進めるかは、家庭裁判所や弁護士に相談してみてください。
家族の誰かが先に売ってしまっていたら
話し合いの前に、家族の誰かが形見を売ってしまっていた、ということもあります。まずは責めるより、何をいつ売ったのかを落ち着いて聞いてみましょう。
民法906条の2では、遺産分割の前に遺産が処分された場合でも、共同相続人全員の同意で、その財産を遺産分割の時に遺産として残っているものとみなせるとされています。売った本人の同意はいりません。
具体的な進め方は、相続人の一人が遺品の金を勝手に売ったら?で説明しています。
売る前の順番:一覧、残す物、分け方
「一覧を作る、残す物を決める、分け方を決める」の順番です。売る物は、最後に残った物の中から選びます。
- 遺品の金や貴金属を1か所に集め、1点ずつ写真を撮る
- 刻印・重さ・付属品を書いた一覧を作る
- 相続人それぞれに、残したい物を聞く
- 残す物を、誰が受け継ぐか決める
- 残りの物を、現物で分けるか、売って分けるか決める
この順番で進めると、残したい物が売られてしまうことを防げます。
遺言が残っていないか確かめる
一覧を作る前に、遺言が残っていないかも確かめておきましょう。民法902条では、亡くなった人は遺言で相続分を決めることができるとされています。
自筆の遺言は、全文・日付・氏名を自分で書いて印を押すことになっています(民法968条)。法務局の自筆証書遺言書保管制度を使っていた場合は、家庭裁判所での検認が不要と案内されています(法務省)。
遺言に「この指輪は長女に」のような書き方があれば、それに沿って考えることになります。読み方に迷う時は、弁護士や司法書士に相談してみてください。
分け方は3つある
残す物が決まったら、残りをどう分けるかを話し合います。分け方には、大きく3つの方法があります。
| 分け方 | どんな方法か | 向いている時 |
|---|---|---|
| 現物で分ける | 品物そのものを相続人で分ける | 品物の数が多く、それぞれ欲しい物がある時 |
| 売って分ける(換価分割) | 売ったお金を相続人で分ける | 誰も残さない物が多い時 |
| 代わりにお金を払う(代償分割) | 1人が品物を受け継ぎ、ほかの相続人にお金を払う | 1点だけ高額な品を誰かが残したい時 |
代償分割は、国税庁の相続税法基本通達11の2−9やタックスアンサー No.4173で説明されている分け方です。分け方の細かい決め方は、相続人が複数いる時の金の分け方で説明しています。
相続した金を売ったら、譲渡所得になります(国税庁 No.3161)。売ったお金を分ける換価分割で、分け方が決まっていない時は、法定相続分で各相続人が申告すると国税庁の質疑応答事例で説明されています。申告が必要かどうかは、税務署か税理士に確認してみてください。

相続財産になる物と、形見分けでもらった物
『形見分けでもらった指輪なら、もう自分の物だよね』。そう考える方も多いはずです。
祖母の形見分けで指輪とペンダントをもらいました。これは自分で売っても大丈夫ですか?
形見分けで受け取った物なら、自分で行き先を決めやすいです。ただ、気になる家族がいる時は、ひと言伝えておくと安心ですよ。
| 品物の状態 | 誰が決めるか | 売る前にすること |
|---|---|---|
| まだ遺品のまま(遺産分割前) | 相続人みんな | 一覧を見せて、相続人で行き先を決める |
| 遺産分割で自分が受け継いだ | 受け継いだ自分 | 気になる家族がいればひと言伝える |
| 形見分けで自分が受け取った | 受け取った自分 | 思い出のある家族に、ひと言伝える |
| 仏壇・仏具など祭祀に使う物 | 祭祀を受け継ぐ人 | 祭祀を受け継ぐ人と相談する |
仏壇や仏具などの祭具は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が受け継ぐとされています(民法897条)。金のおりんなどが出てきた時は、ほかの遺品とは分けて考えましょう。
相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます(民法915条)。その前に相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号)。形見分けで受け取ってよい範囲も個別の判断になるので、高価な物は売る前に家庭裁判所や弁護士・司法書士に確認してみてください。
相続税がかかるかどうかの目安
金や金貨も相続財産です。田中貴金属の公式サイトでも「地金・金貨・プラチナコインは相続税(贈与税)の対象です。」と案内されています。
相続税は、遺産の合計が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える時にかかります(国税庁 No.4102)。
| 法定相続人の数 | 基礎控除の額 |
|---|---|
| 1人 | 3,000万円+600万円×1=3,600万円 |
| 2人 | 3,000万円+600万円×2=4,200万円 |
| 3人 | 3,000万円+600万円×3=4,800万円 |
超える場合の申告と納税は、死亡を知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。形見の金も含めて遺産の合計がどのくらいになるか、気になる時は税務署か税理士に確認してみてください。
形見分けをする時期や相手、税金の注意は、形見分けで金・貴金属を分ける時の注意でまとめています。
売る時の流れ
家族で「これは売る」と決めた物だけを、自分で選んだ買取店で査定に出します。品物ごとの金額を聞いてから、売るかどうかを決めれば大丈夫です。
金額を家族と共有してから決めると、売ったお金の分け方の話もしやすくなります。査定だけ受けて、持ち帰って相談するのもかまいません。
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売ると決めた形見だけ、金額を聞いてから
残す物を決めて、家族で話し合ったら、売る品だけを査定に出しましょう。刻印のない品や壊れた品も、店で品物を見てもらい、1点ずつ金額の説明を聞いてから決められます。査定だけでも大丈夫です。
査定料無料公式サイトで買取価格を確認する買取価格は日々変わります。最新の価格・条件・必要書類は公式サイトで確認してください。
- 家族で決めた「売る物リスト」と品物をそろえる
- 刻印・鑑定書・箱などを品物ごとにまとめる
- 買取店で、品物ごとの金額と理由を聞く
- 金額を家族に共有し、売るかどうかを決める
- 本人確認書類を持って売り、明細を保管する
国民生活センターは2026年9月2日の発表で「査定を受けたからといって、その場で買取に応じる義務はありません」と呼びかけています。店頭での買取にはクーリング・オフが使えないので、迷ったら持ち帰りましょう。
金額の目安を知っておく
田中貴金属工業が2026年10月20日17:00に発表したRE:TANAKAのリサイクル価格(税込・1gあたり・記事執筆日時点の参考値)は、K18が15,214円、K24が20,850円でした。
例えば18金10gのネックレスなら、15,214円×10g=152,140円が計算上の目安です。店ごとに基準が違うので、あくまで目安として見てください。

実家で査定を受ける時は
実家の片付けで品物が多い時は、自宅に来てもらう出張買取を使う方法もあります。出張買取は「訪問購入」にあたり、法定書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。
おたからやの公式サイトでは、出張買取は依頼があった場合のみ伺い、訪問前に査定員の氏名・顔写真を送ると案内されています。家族に立ち会ってもらうと、金額をその場で共有できて安心です。
売る時に持っていく物
買取店は、買い取る時に売る人の本人確認をすることになっています(古物営業法15条)。
- 現住所が記載された本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
- 家族と決めた売る物リスト
- 鑑定書・鑑別書・箱・保証書(あれば)
- 親族以外の人に頼む時は、委任状と頼まれた人の本人確認書類
おたからやの公式サイトでは、200万円を超える取引の時は顔写真付きの本人確認書類が必要と案内されています。相続品を売る時に遺産分割協議書などの追加書類がいるかどうかは、事前に店に確認しておきましょう。
生活用の動産を売っても所得税はかかりませんが、貴金属や宝石で1個または1組の価額が30万円を超えるものは課税の対象です(国税庁 No.3105)。相続した品の取得費と取得日は、亡くなった人のものを引き継ぎます(所得税法60条1項)。高額な品は税務署か税理士に確認してみてください。
「親の形見を売る」よくある相談
ネットの相談サイトでよく見かける悩みを3つ取り上げます。
祖母の形見分けでもらった指輪やペンダントを売りたい
祖母の形見分けで受け取った昔の指輪やペンダントを、使わないので売りたいという相談です。
形見分けで自分が受け取った物なら、売ることも選べます。気になる時は、親や叔母などに「使わないので、大事にしてくれるところに出そうと思う」と伝えておくと安心です。
昔のデザインでも、金やプラチナとしての価値は残っています。刻印を確かめて、上の計算で目安を出してから査定に出してみてください。
親戚の形見の指輪、デザインが古くて使わない
親戚の形見の指輪をいくつか受け取ったけれど、デザインが古くて使わないので売りたい、という相談もあります。
1つだけ思い出のある物を残して、ほかを売る候補にする方法もあります。全部を一度に売らなくても大丈夫です。
祖母がつけていたK18の指輪、どうするか迷っている
祖母が最後までつけていたK18の指輪を受け取ったけれど、どうしたらいいか迷っている、という相談です。
『つけていた姿を覚えているから、手放すのはつらい』。そう感じるなら、急いで売る必要はありません。ネックレスに通して身につけたり、しまって残したりしてから、ゆっくり考えても遅くないんです。
売ることへの後ろめたさがある時は、形見を売るのは罪悪感がある?手放す前に考えたいことも読んでみてください。
よくある質問
母の形見を売る時、兄弟の同意はいりますか?
遺産分割が終わるまでは、遺品は相続人みんなの共有です(民法898条)。兄弟も相続人なら、一覧を見せて行き先を一緒に決めましょう。
祖母の形見を孫が売ってもいいですか?
形見分けで自分が受け取った物なら、自分で行き先を決められます。まだ遺品のままなら、相続人である親や叔父・叔母が決めることになります。
祖父の形見の金時計を売る時に気をつけることは?
時計は、時計としての価値と金としての価値で見方が違います。売る前に、家族に受け継ぎたい人がいないか聞いてから、時計も金も見てもらえる店で金額を聞きましょう。
親の形見を売ったお金は、どう分ければいいですか?
売ったお金を相続人で分ける方法を換価分割といいます。分け方は話し合いで決めてよく、税金の申告については税務署か税理士に確認してみてください。
父の遺言に形見のことが書いてあったら、どうなりますか?
民法902条では、遺言で相続分を決めることができるとされています。遺言の内容に沿って考えることになるので、読み方に迷う時は弁護士や司法書士に相談してみてください。
査定に出したら、その場で売らないといけませんか?
いいえ、査定と買取は別のことです。金額を聞いて持ち帰り、家族と相談してから決めても大丈夫です。
まとめ
- 親の形見を売る時は、一覧作り、残す物、分け方、売る物の順番で進める
- 遺品のままの金は相続人みんなの共有なので、家族に相談してから決める
- 祖母・祖父の形見は、相続人が親や叔父・叔母のことが多い
- 形見分けで受け取った物は自分で決めやすいが、ひと言伝えると安心
- 売る時は、品物ごとの金額を聞き、家族と共有してから決める
形見の金全体の扱い方は形見の金を売るには?遺品から出てきた金の扱い方と売り方にまとめています。







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