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母の金のネックレスや指輪、父の延べ棒。相続人が何人もいると「この金をどう分ければいいの?」と悩みますよね。
結論から言うと、相続した金の分配方法は大きく3つです。そのまま誰かが受け継ぐ、売ってお金で分ける、1人が受け継いでほかの人にお金を払う。相続人みんなが納得すれば、品物ごとに分け方を変えても大丈夫です。
この記事を読めば、それぞれの分け方の進め方と、代償金の計算、お金の渡し方で気をつけることが分かります。
兄と私で、母の金のアクセサリーと小さな延べ棒を相続しました。どう分けたらもめないでしょうか。
まずは全部を並べて、一覧を2人で共有しましょう。そのうえで「残したい物」と「売ってもいい物」を分けていくと、話が進めやすくなりますよ。
相続した金の分配はどう決まる?まず法定相続分を知っておきましょう
法定相続分は、話し合いの「目安」です。相続人みんなが納得すれば、法定相続分と違う割合で分けても構いません。
相続人が複数いる時、相続した金は分け方が決まるまで相続人みんなの共有です(民法898条)。誰がどれだけ受け取るかの目安になるのが、民法900条の法定相続分です。
| 相続人の組み合わせ | 法定相続分 | 例えば |
|---|---|---|
| 配偶者と子ども | 配偶者2分の1・子ども全員で2分の1 | 子ども2人なら各4分の1 |
| 配偶者と父母など | 配偶者3分の2・父母など全員で3分の1 | 父母2人なら各6分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3・兄弟姉妹全員で4分の1 | 兄弟2人なら各8分の1 |
| 子どもだけ | 子どもで等分 | 子ども3人なら各3分の1 |
国税庁のタックスアンサー(No.4132)では、法定相続分は相続人の間で合意できなかった時の持分で、その割合どおりに分けなければならないわけではないと案内されています。
『兄が多めに欲しいと言っているけれど、いいのかな』と迷う方もいるかもしれません。みんなが納得しているなら大丈夫です。ただ、気持ちの上で引っかかる時は、無理に合わせず話し合いを続けてみてください。
分配はいつまでに決める?遺産分割の話し合いで決めます
分け方は、相続人みんなの話し合い(遺産分割協議)で決めます。民法907条では、相続人は「いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」とされています。
遺産分割そのものに期限はありません。ただし、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を考えない分け方になると定められています(民法904条の3)。
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(No.4205)。それまでに分け方が決まらない時は、法定相続分などで分けたものとして申告します(No.4208・相続税法55条)。遺産の合計が基礎控除を超えそうな時は、早めに税理士へ相談しておくと安心です。
分け方を決める時は、金だけでなく、預金や家などほかの遺産も含めて考えます。民法906条でも、遺産の種類や性質、相続人の生活の状況などを考えて分けるとされています。
例えばこんな場面です。「家は実家に住む姉が受け継ぐから、金は弟に多めに」。こうした組み合わせで全体のバランスを取ることもできます。
金の分け方は3つ。それぞれの向き・不向き
3つの分け方があるのは分かったのですが、どれを選べばいいのか…。
品物ごとに考えると決めやすいですよ。残したい人がいる物はそのまま受け継ぐ、誰も使わない物は売って分ける、という具合です。
| 分け方 | どんな方法? | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 品物ごとに受け取る人を決める | 指輪やネックレスが何点かある時 | 品物の価値に差があると不公平に感じやすい |
| 換価分割 | 売ったお金を決めた割合で分ける | 延べ棒など1つしかない品 | 品物は手元に残らない |
| 代償分割 | 1人が受け継ぎ、ほかの人にお金を払う | 残したい人がはっきりしている時 | 受け継ぐ人に払うお金が必要 |
国税庁のタックスアンサー(No.4173)では、代償分割は「現物分割が困難な場合に行われる方法」と説明されています。
- 形見として残したい物を残せる
- 分けにくい物はお金にして公平に分けられる
- 家族それぞれの希望を取り入れやすい
- 品物の金額が分からないと公平かどうか判断しにくい
- 売った後は品物が戻ってこない
- お金のやり取りは記録を残す必要がある
現物で分ける時のコツ
指輪やネックレスを1点ずつ分ける時は、品物の数ではなく金額のバランスを見るのがコツです。重い喜平のネックレスと細い指輪では、同じ1点でも金額がかなり違うことがあります。
- 品物ごとの刻印(K18・K24など)と重さを一覧にする
- 誰がどの品を残したいか、希望を書き出す
- 金額の差が大きい時は、代償金で調整するかを話し合う
- 石の付いた品は、地金と別に金額を聞いておく
『思い出の品にお金の話を持ち込むのは気が引ける』と感じる方もいるかもしれません。それでも、金額が見えていると後から「不公平だった」と思う人が出にくいんです。
どの方法でも、品物の金額を知っておくと話し合いがしやすくなります。査定で品物ごとの金額を聞いておくと、公平かどうかを数字で確かめられます。

代償金の計算方法と支払い方法
私が母の指輪を受け継いで、兄にお金を払う形にしたいです。いくら払えばいいんでしょう。
まず、その指輪をいくらと見るかを2人で決めましょう。金額が決まれば、取り分の割合に合わせて計算できますよ。
代償金は「受け継ぐ品の金額×ほかの相続人の取り分」で考えるのが基本です。ポイントは、品物の金額を何で決めるかを、相続人みんなで先に合わせておくことです。
代償金の計算例
例えば、18金のネックレスと指輪が合わせて30gあり、兄弟2人で半分ずつ分けるとします。
RE:TANAKA(田中貴金属のジュエリー買取)が2026年10月20日17:00に発表したK18のリサイクル価格は1gあたり15,214円でした(税込・鑑定料・手数料込み。記事執筆日時点の参考値)。
| 計算の手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 品物の金額の目安 | 15,214円×30g | 456,420円 |
| 兄の取り分(2分の1) | 456,420円÷2 | 228,210円 |
| 受け継ぐ人が払う代償金 | 兄の取り分と同じ | 228,210円 |
これはあくまで計算上の目安です。デザインや石が付いた品は、地金の値段だけでは決まらないこともあります。
延べ棒の場合も考え方は同じです。田中貴金属工業が2026年10月20日17:00に公表した金の店頭買取価格は1gあたり22,773円でした(税込・記事執筆日時点の参考値)。100gの延べ棒なら、22,773円×100g=2,277,300円が計算上の目安です。
兄弟2人で半分ずつなら、2,277,300円÷2=1,138,650円が代償金の目安になります。
品物の金額を、受け継ぐ人だけが調べて決めてしまうことです。公表価格を使うのか、査定の金額を使うのか、基準をみんなで決めてから計算しましょう。
代償金の支払い方法
代償金は、振込のように記録が残る形で払っておくと安心です。手渡しにする時は、受け取った側が受取書を書いておくと、後で確かめやすくなります。
- 受け継ぐ品と、品物の金額の基準を相続人で決める
- 代償金の額と、いつまでに・どう払うかを決める
- 決めた内容を遺産分割協議書に書いておく
- 振込など記録が残る方法で払う
- 振込の控えや受取書を保管する
協議書の書き方に迷ったら、司法書士や弁護士に相談してみてください。一度に払うのが難しい時の分け方も、相続人で話し合って決めておきましょう。
代償金と税金の考え方
国税庁の相続税法基本通達11の2-9では、代償金を受け取った人は「現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額」、払った人は「現物の財産の価額から交付をした代償財産の価額を控除した金額」で相続税の課税価格を計算するとされています。
また、所得税基本通達38-7では、代償金として払ったお金は、受け継いだ品を後で売る時の取得費には入らないとされています。相続税の申告が必要な時は、税理士に確認しながら進めてみてください。
売って分ける時の流れと税金
延べ棒は誰も使わないので、売ってお金で分けることになりました。
それなら、売る品を相続人みんなで確認してから進めましょう。品物ごとの金額を聞いて、みんなが納得してから売れば大丈夫です。
換価分割は、売る前の準備が大事なところです。売ると決めた品だけを、自分で選んだ買取店で査定してもらい、金額を相続人で共有してから売りましょう。
- 売る品を一覧にして、相続人全員で確認する
- 誰が店に持っていくか、代表者を決める
- 査定で品物ごとの金額を聞き、相続人に共有する
- みんなが納得したら売り、明細を保管する
- 決めた割合で、売ったお金を各相続人に振り込む
査定だけ受けて、いったん持ち帰っても構いません。おたからやでは、査定料・キャンセル料は無料と案内されています。LINE査定も「売らずに金額を知るだけでも大丈夫」とされているので、話し合いの材料として金額を聞いておくのもいい方法です。
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売ると決めた形見だけ、金額を聞いてから
残す物を決めて、家族で話し合ったら、売る品だけを査定に出しましょう。刻印のない品や壊れた品も、店で品物を見てもらい、1点ずつ金額の説明を聞いてから決められます。査定だけでも大丈夫です。
査定料無料公式サイトで買取価格を確認する買取価格は日々変わります。最新の価格・条件・必要書類は公式サイトで確認してください。
店頭での買取にはクーリング・オフの制度がありません。その場で決めずに、金額を持ち帰って相続人と相談してみてください。
買取店は、売る人の本人確認をします(古物営業法15条)。田中貴金属は、相続で入手した商品を売る時に相続に関する書類が必要で、代表例は遺産分割協議書・印鑑証明書・除籍謄本と案内しています。おたからやの公式ページでは相続品の追加書類の記載が見つからなかったので、事前に店に確認しておきましょう。
書類の準備は相続した金を売る時の必要書類で詳しく説明しています。
売った時の税金は、取り分に応じて各自で考えます
相続した金を売った時の所得は、原則として譲渡所得です(No.3161)。換価分割では、売った人だけでなく、取り分に応じて各相続人が譲渡所得を考えることになります。
国税庁の質疑応答事例(土地の例)では、売った時点で取り分が決まっていない場合は法定相続分で申告するとされています。ただし、確定申告期限までにお金を分けて、全員が取得割合で申告すれば、その申告は認められると案内されています。
売ったお金を誰がどの割合で受け取るかを、売る前に決めておきましょう。分け方が決まらないまま申告期限を過ぎると、法定相続分で申告することになり、後から分けても直せない場合があります。
取得費と取得日は、亡くなった方のものを引き継ぎます(所得税法60条1項)。売った時の税金の計算は相続した金を売った時の税金で詳しく説明しています。
相続した金の渡し方と贈与税の考え方
『売ったお金を代表者がいったん受け取ったら、兄弟に渡す時に贈与税がかかるの?』と心配になる方も多いはずです。
遺産分割で決めた割合どおりに渡すお金は、相続した財産を分けるために決めたものです。協議書に「売ったお金をこの割合で分ける」と書いておくと、何のお金なのかがはっきりします。
| 場面 | 考え方 | 確かめておきたいこと |
|---|---|---|
| 協議で決めた割合どおりに渡す | 遺産を分けるために決めたお金 | 協議書に割合を書いておく |
| 代償金として払う | 遺産分割の方法の一つ(代償分割) | 協議書に金額と支払い方法を書く |
| 自分の取り分から、別の相続人や家族にあげる | 贈与として扱われる場合がある | 税務署か税理士に確認する |
贈与税は、個人から贈与により財産を取得した時にかかる税金です(No.4402)。1年間にもらった財産の合計が基礎控除110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要とされています。
110万円を超える贈与を受けた時は、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに申告と納税をします(No.4429)。
例えばこんな場面です。「自分の取り分はいらないから、全部妹に」と分けた後で渡すのと、最初から協議で妹が受け取ると決めるのとでは、扱いが変わることがあります。迷う時は、渡す前に税務署か税理士に相談してみてください。
- 遺産分割協議書に、誰がいくら受け取るかを書いたか
- 振込など記録が残る方法で渡すか
- 協議書と違う金額を渡そうとしていないか
- 売った時の明細と振込の控えを保管したか
話し合いがまとまらない時は?家庭裁判所の調停を使えます
相続人どうしで話し合ってもまとまらない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。裁判所の案内では、相続人の1人または何人かが、ほかの相続人全員を相手方として申し立てる手続きです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てる先 | 相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で決めた家庭裁判所 |
| 費用 | 被相続人1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手 |
| 主な書類 | 申立書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本など |
| まとまらない時 | 調停が不成立になると、自動的に審判の手続きに移る |
調停を考える前に、品物の一覧と写真、査定で聞いた金額をまとめておきましょう。何をどう分けたいのかが見える形になっていると、話し合いでも調停でも説明がしやすくなります。
分け方が決まる前に、相続人の1人が金を売ってしまうこともあるかもしれません。民法906条の2では、相続人全員の同意で、その財産が遺産分割の時に残っているとみなせるとされています(売った本人の同意は要りません)。
こうした時の対応は相続人の一人が遺品の金を勝手に売ったら?で説明しています。具体的な進め方は、弁護士や家庭裁判所に相談してみてください。

「金の分け方」よくある相談
ここでは、ネットの相談サイトでよく見かける悩みを3つ取り上げます。
兄弟で母の金のアクセサリーをどう分ければいい?
母の指輪やネックレスがいくつもあり、兄弟でどう分ければいいか分からないという相談です。
まずは全部を並べて写真を撮り、一覧を共有しましょう。次に、それぞれが「残したい物」を選びます。希望が重ならなければ、そのまま受け継ぐ形で決まります。
希望が重なった品や、誰も欲しがらない品は、査定で金額を聞いてから考えましょう。売って分けるか、受け継ぐ人が代償金を払うかを、金額を見ながら決められます。形見分けの進め方は形見分けで金・貴金属を分ける時の注意でも説明しています。
遺産の分け方で、親族が言い争いになっている
遺産をどう分けるかで、親族の意見が合わずに言い争いになっているという相談です。
感情的になっている時は、無理に一度で決めなくて大丈夫です。意見が分かれた品は一時保管して、落ち着いてから話し合うのも一つの方法です。
それでもまとまらない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。第三者が間に入ることで、話し合いが進むこともあります。
相続した金を売ったお金は、どう分ければいい?
相続した金を売ったけれど、そのお金をどう分ければいいか分からないという相談です。
分ける割合は、相続人の話し合いで決めます。法定相続分を目安にしても、違う割合にしても構いません。決めた割合は協議書に書き、振込で分けると記録が残ります。
税金は取り分に応じて各自で考えることになるので、確定申告期限までに分けておくと安心です。
よくある質問
相続した金の分配に期限はありますか?
遺産分割そのものに期限はありません。ただし、相続開始から10年を過ぎると特別受益や寄与分を考えない分け方になります(民法904条の3)。相続税の申告が必要な時は10か月以内という期限があるので、早めに話し合いを始めると安心です。
代償金は分割で払ってもいいですか?
相続人みんなが納得すれば、払い方は話し合いで決められます。いつまでにいくら払うかを遺産分割協議書に書いておくと、後で確かめやすくなります。書き方は司法書士や弁護士に相談してみてください。
代償金の計算は、どの金額を基準にすればいいですか?
公表価格を使うのか、査定の金額を使うのかを相続人で決めましょう。品物ごとに査定で金額を聞いておくと、みんなが納得しやすくなります。
金を売って分けた時、確定申告は誰がしますか?
換価分割では、取り分に応じて各相続人が譲渡所得を考えます。申告が必要かどうかは、ほかの所得などによって変わるので、税務署か税理士に確認してみてください。
まとめ
- 法定相続分は目安。相続人みんなが納得すれば違う割合で分けてよい
- 分け方は、現物分割・換価分割・代償分割の3つ。品物ごとに変えてもよい
- 代償金は品物の金額の基準を先に決めてから計算し、記録が残る形で払う
- 売って分ける時は、売る前に割合を決め、確定申告期限までに分ける
- まとまらない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使える
相続した金の扱い方の全体は相続した金(ゴールド)の扱い方、形見の金全般は形見の金を売るには?遺品から出てきた金の扱い方と売り方でまとめています。







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