相続した金を現金化するのはいつ?手続きの順番から考える売る時期

相続した金を現金化する時期の考え方を表したアイキャッチ

当サイトの記事は、国税庁・裁判所・法務省・e-Gov法令検索・国民生活センターなど公的機関の公開情報、田中貴金属工業の公表価格、各買取店の公式情報、Yahoo!知恵袋などの公開された声をもとに編集部が独自に執筆しています。相続・税金の個別の判断は、税務署・税理士・弁護士・司法書士・家庭裁判所などに確認してください。買取価格・条件は店や品物ごとに異なり、日々変わります。

親から相続した金の延べ棒や指輪。「今のうちに現金化した方がいいのかな」「もう少し待った方がいいのかな」と迷いますよね。

結論から言うと、金の値段がこの先どうなるかは誰にも分かりません。だからこそ、相続した金を現金化する時期は、値段ではなく「手続きの順番」から考えるのがおすすめです。

この記事では、売っていい時期の目安と、売る前に済ませておきたいことが分かります。

遺品を整理中の人

父の金を相続しました。ニュースで金の値段をよく見かけるので、早く売った方がいいのか迷っています。

案内役

気になりますよね。ただ、値段の先行きは誰にも読めないんです。まずは「いつなら売っても困らないか」を、手続きの面から一緒に確かめていきましょう。

目次

金の値段がいつ一番高いかは、誰にも分かりません

先に結論

「売るならこの日」と言い切れる人はいません。売る時期は、家族の手続きの区切りと、その日に公表されている価格を見て決めましょう。

金の価格は毎日変わります。田中貴金属工業は、地金・コインの価格を営業日の9:30と14:00に公表していて、相場が大きく動いた時は同じ日の別の時間にも変えることがあると案内しています。

例えば、田中貴金属工業が2026年10月20日17:00に公表した金の店頭買取価格は1gあたり22,773円でした(税込・記事執筆日時点の参考値)。

『じゃあ、上がるまで待った方がいいの?』と思う方もいるかもしれません。

ただ、この記事では値段の予想はしません。待つかどうかは、値段ではなく家族の事情で決めていいんです。

考える軸見るもの決め方の例
値段その日に公表されている価格品物ごとの金額を聞き、納得できるかで決める
手続き遺産分割・相続放棄・申告の期限区切りがついてから売る
気持ち残したい品があるか残す品を先に決めてから売る

手続きの面から見た「売っていい時期」

遺品を整理中の人

手続きの面というと、何から確かめればいいですか?

案内役

大きく分けて4つの区切りがあります。順番に見ていけば、売る前にやっておくことがはっきりしますよ。

遺産分割が決まる前は、売らずに待つ

相続人が数人ある時は「相続財産は、その共有に属する」と民法898条で定められています。分け方が決まるまでは、相続した金は相続人みんなの物なんです。

『自分が相続したんだから、自分で売ってもいいのでは?』と思うこともありますよね。

ひとりの判断で現金化すると、後で話がこじれることもあります。売るなら、相続人みんなで「これは売る」と決めてからにしましょう。

相続放棄を考えているなら、3か月以内は特に注意

相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法915条)。

その前に相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認したものとみなされると民法921条1号に定められています。放棄を考えている場合は、売る前に家庭裁判所か弁護士・司法書士に確認してください。

相続税の申告期限(10か月)を意識する

相続税の申告と納税は、死亡を知った日の翌日から10か月以内です(No.4205)。申告が必要な家庭では、金も含めた財産を把握してから申告します。

なお、遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除の範囲内なら、申告も納税も必要ないとされています(No.4102・No.4205)。

相続税を払った人は「3年」の期限を確かめる

相続税を払った人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、取得費加算の特例を使える場合があります(No.3267)。

ただし No.3267 の対象は「土地、建物、株式などの財産」と書かれていて、金地金を名指しした原文はありません。使えるかどうかは税務署か税理士に確かめてみてください。

相続した金を現金化する前の手続きの区切りを時系列で示した図解
時期の目安起きること現金化との関係
亡くなった直後遺品の把握・相続人の確認まだ売らず、全部を記録する
3か月以内相続放棄の申述の期限(民法915条)放棄を考えるなら売らない
10か月以内相続税の申告・納税の期限(No.4205)申告に向けて財産を把握
申告期限の翌日以後3年まで取得費加算の特例の期限(No.3267)相続税を払った人は確認

売る前に済ませておきたい3つのこと

『手続きの区切りは分かったけど、実際に売る前に何をしておけばいい?』という方も多いはずです。

現金化の前のチェック
  • 残す品と売る品を、相続人みんなで決めておく
  • 売ったお金を誰がどの割合で受け取るかを決めておく
  • 購入時の明細や保証書を探しておく(税金の計算で使う)

売ったお金を分ける換価分割は、分け方が決まっていなければ法定相続分で各相続人が譲渡所得を申告すると、国税庁の質疑応答事例(土地の例)で説明されています。売る前に割合を決めておくと、申告の時に迷いません。

相続した金を売って利益が出た時の税金は、亡くなった方が買った時の値段と日付を引き継いで計算します(所得税法60条1項)。くわしくは相続した金の売却にかかる税金で説明しています。

「相続した金はいつ売るのがいい?」よくある相談

ここでは、ネットの相談サイトで見かける悩みを3つ取り上げます。

30年前に買った金地金を相続。購入時の書類が見つからない

亡くなった方が昔に買った延べ棒を相続し、売ろうと思ったら購入時の計算書が必要と知ったけれど、どこにも見当たらないという相談です。

書類が無くても売ること自体はできます。税金の計算では、取得費が分からない時に売った金額の5%を取得費にしてもよいとされています(所得税基本通達38-16)。

例えば100gなら、22,773円×100g=2,277,300円、その5%の113,865円が取得費になる計算です(2026年10月20日17:00公表の田中貴金属の店頭買取価格で計算した目安)。売る前に、家のどこかに書類が残っていないか一度探してみてください。

親が遺した純金積立。今売るべき?

亡くなった親が純金積立をしていて、今売った方がいいのか迷っているという相談です。

純金積立は、まず名義を変えて続けるのか、解約して現金化するのかを窓口で確かめるところから始まります。売る時期も、値段の予想ではなく、相続人で分け方が決まったかどうかで考えてみてください。手続きの流れは親の純金積立は相続でどうなる?で説明しています。

相続したインゴットの「持っていた期間」はいつから数える?

相続してから日が浅いので、持っていた期間が短いと税金が高くなるのでは、という相談です。

所得税法60条1項では、相続した資産は「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」とされています。つまり、亡くなった方が買った日から数えるんです。

5年を超えていれば、特別控除の後の2分の1が課税の対象になります(No.3161・No.3152)。相続した日から数え直す必要はありません。

現金化すると決めたら、どう進める?

遺品を整理中の人

家族で話し合って、延べ棒だけ売ることにしました。どう進めればいいですか?

案内役

残す品が決まっているなら、あとは品物ごとの金額を聞いてから決めれば大丈夫です。査定だけ受けて、家族と相談してから売ることもできますよ。

売るのは、相続人で決めた品だけです。そのうえで、自分で選んだ買取店に査定をお願いし、品物ごとの金額を聞いてから売るかどうかを決めましょう。

その日に公表されている価格を見ておくと、提示された金額が分かりやすくなります。金額を家族と共有して、みんなが納得してから売れば、後からもめにくくなります。

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売ると決めた形見だけ、金額を聞いてから

残す物を決めて、家族で話し合ったら、売る品だけを査定に出しましょう。刻印のない品や壊れた品も、店で品物を見てもらい、1点ずつ金額の説明を聞いてから決められます。査定だけでも大丈夫です。

査定料無料公式サイトで買取価格を確認する

買取価格は日々変わります。最新の価格・条件・必要書類は公式サイトで確認してください。

現金化の流れ
  1. 残す品と売る品を相続人で決める
  2. その日の公表価格を確かめる
  3. 買取店で品物ごとの金額を聞く(査定だけでもよい)
  4. 金額を家族で共有し、売るかどうかを決める
  5. 明細を保管し、決めた割合で分ける
現金化すると決めた後の流れを示した図解

金額の目安の計算や、お店ごとの比べ方は形見の金を納得の金額で売るコツでまとめています。

よくある質問

相続した金は、すぐに現金化しないといけませんか?

急いで売る決まりはありません。遺産分割が決まってから、残す品と売る品を決めて現金化すれば十分です。

相続放棄を考えています。金を売ってもいいですか?

放棄の前に相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされると民法921条1号に定められています。売る前に家庭裁判所か弁護士・司法書士に確認してください。

値段が上がるまで待った方がいいですか?

金の値段の先行きは誰にも分かりません。この記事では予想をせず、手続きの区切りと、その日に公表されている価格で判断することをおすすめしています。

取得費加算の特例はいつまでに売れば使えますか?

相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ることが要件の一つです(No.3267)。相続税を払った人だけの話で、金で使えるかは税務署か税理士に確認してください。

まとめ

この記事の要点
  • 金の値段の先行きは誰にも分からないので、売る時期は手続きの順番で考える
  • 遺産分割が決まるまでは相続人みんなの物。放棄を考えるなら売らない
  • 相続税の申告期限は10か月、取得費加算の特例は申告期限の翌日以後3年まで
  • 書類が無くても売れる。取得費が分からない時は売った金額の5%
  • 売る品だけを、品物ごとの金額を聞いてから決める

形見の金全体の扱い方は形見の金を売るには?遺品から出てきた金の扱い方と売り方で順番にまとめています。

形見の金.jp

形見の金.jp 編集部

遺品整理で出てきた金の指輪・ネックレス・金貨・おりんなどを、家族で納得して残す・分ける・売れるよう、国税庁・裁判所など公的機関と各社の公式情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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